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折れ竿修理 実践編2
お気に入りの旅行用パックロッドが・・・・・。
 
英国シマノ製のTEXBXMTS27
ランディング中、竿をあおったとたん、「バキ」獲物と一緒に折れた部分が海面に向かって遠ざかっていきます。見事に2か所で破断しました。(泣)
なんともろいロッドなのだろう。
 購入したところに問い合わせするとメーカー修理不能。新しく買うしかないとのこと


 固定ガイド式の振り出し式パックロッド、この修理は過去に聞いたことがなく、廃棄処分とするのが一般的なようです。
でも輸入品のため、なかなか入手しづらいことから修理にチャレンジしてみました。
 

 ブランクスの重なり部分は、結構大雑把な仕上げで見た目で大きな凸凹があります。
破断部分はこの重なり分の直下でした。
診断としては「不均一接触でのアソビの発生により応力集中が起きて破断」というところでしょうか。振り出し部分をかなりきつく引き出して使わないとこの現象が起きやすいということがわかりました。要するに「いい仕事」とは言えない商品のようです。ブランクスさえ手に入れば、自分で作ってみたいものです。


 破断部分をノギスで計測したところ、ブランクスの厚さは約0.35mm。ばらつきがあり0.3~0.4mmというところでしょうか。

 並接ぎにするために表面を研磨加工しました。

 破断部分を補強するために下処理を行いました。厚さを0.05mm程削り込みました。

 インナーパイプで補強するためブランクスの内面を0.03~0.05mm程研磨しました。

 インナーパイプは釣具屋で中古カーボンパイプを購入しました。外径は、ブランクス側の内径に合うよう研磨し、その後インナーパイプの厚みを薄くするため内面を削ります。厚みは0.15mm程度です。市販品では入手できませんから、このあたりは手作業でやることになります。竿の特性を変えないよう補強はできるだけ薄くすることが大切です。

 インナーパイプをカットします。厚みが薄いので切断面が不均一にならないようカッターで切断しました。

 切断面はサンドペーパで整えます。

 インナーパイプの寸法合わせです。挿入がスポスポではいけません。「きついがどうにか入る」というくらいまでインパーパイプの外径を調整していきます。下の画像はブランクスの手元側調整。

 インナーパイプ外形のブランクス先端側調整です。
 

 ぴったり合いました。
このまま接着しブランクス表面をカーボン繊維で補強してもいけそうでしたが、
冒険はせず、アウターパイプで補強することにしました。
アウターパイプの写真を撮りわすれました。<(_ _)>

 アウターパイプで補強後、その外形を旋盤で削り込んでいきます。
直径はブランクスより0.3mm程度太くなっています。

補強部をウレタン塗料で塗装しました。
表面を滑らかにすることが目的です。
試しにスレッドで装飾をしてみました。結構、いいかも。




 並接ぎ部分のストッパーとして、スレッドを巻いてみました。

 破断部分もスレッドで装飾することにしました。
 この後エポキシでコーティングします。

 後日ブランクスを艶消し黒で塗装することにしたため、この補強部のスレッドは取り外し、アウターパイプをさらに削り込みました。
この画像が、修理の完成形です。
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