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折れ竿修理 基本編

下の図の補修構造が基本形になります。

 図ではインナーパイプ、アウターパイプとブランクスの間に隙間があるようになっていますが、実際は、密着し隙間がないように加工します。
インナーパイプを差し込み、かつアウターパイプで補強します。
但し先端付近の場合は、パイプではなくソリッドあるいはロッドと呼ばれる無垢の棒を使います。目安は破損部の内径で、φ
1.2mm以下くらいでしょうか。これは外形の細いパイプが入手しにくいということと、強度を確保するためです。
素材として細いピアノ線やドリル素材の棒鋼で試したこともありますが、加工性と特性からカーボンがよいと思っております。

 ロッドの破断面は割れ、ひび割れが無くなるところまでカッターやヤスリで注意してカットします。そして、ヤスリ、サンドペーパーで平らにきれいに仕上げます。
 普通、破損したロッドは破断の長手方向にカーボンが剥離していることがありますが、割れ、ひび割れがなければそのままにします。

 長手方向に表面が欠けている部分は、使用時の応力集中を避けるために、カーボン繊維で補強し強度バランスをとります。欠けが破断面からわずかな長さで浅く、アウターパイプに隠れる場合は省略します。

 欠けに合わせてカーボン繊維を束ね、先端をハサミで補強部の形状に大体合うよう整えます。

 ハサミで成形する前の実物はこんな感じです。

このカーボン繊維は、一般にはカーボンロービングと呼ばれています。

 予めエポキシ接着剤をカーボン繊維に塗布しておきます。余分なエポキシをとるためにウエス等で一度拭き取ります。ブランクスの補修部にエポキシを塗りカーボン繊維を爪楊枝等で、形を整えながら貼り付けていきます。エポキシ接着剤はできるだけ少ない量で行います。カーボン繊維に染み込ませにくい場合は、ドライヤーで温めるとよいでしょう。

 カーボン繊維を貼り付け、硬化したところです。

 はみ出した部分は、カッターナイフで切り落とし、表面をサンドペーパーで整えます。

 インナーはロッド破損部より柔らかいと感じられるものを選びます。これは過酷な使用により補修部付近への応力集中で、内部から破損することを防止するためです。

 インナーは破断部の内径よりわずかに太いものを選定し、サンドペーパーで削りながら径を合わせていきます。削りすぎてスカスカにならないよう注意します。インナーはブランクスの内径に対し、挿入がきつい位に加工しておきます。多少きつくてもエポキシを塗るとスムーズに挿入できるはずです。



 インナーをブランクスに差し込んだところです。
破断部を削っていますから、最低その長さだけ隙間をあけるようにします。また隙間をあけることで、細い部分では応力集中による破損を防止できます。

 「インナーとアウターの長さ」「ブランクスの先端側、手元側への挿入長さ」この位置決めで竿の調子が微妙にかわってきます。これはインナー、アウターの強度の影響も受けるため、経験と勘が必要です。
エポキシで接着する前に仮組し、試行錯誤の繰り返しを行うことで完成度が変わってきます。

 接着の手順は、アウターパイプを先側に通して、インナーパイプを接着してからアウターを接着します。
インナーは挿入の位置決めを確実にするため、先端側を接着硬化させてから手元側を接着するようにします。インナーとブランクスの接着が硬化し、ずれない状態になればアウターを接着します。
エポキシはアルミホイルの上で混合し、ドライヤー等でサラサラになるまで温めると気泡もとれ、また硬化も早くなります。エポキシ接着剤は硬化収縮が少なく、接着強度の強いものを選んでください。(数時間硬化型がいいと思います。(5分、10分の短時間硬化型は避けた方がいいでしょう。)

 接ぎ完了です。この後、2液性ウレタン塗料で塗装し完成です。またスレッドを巻き装飾します。
補修完了後、硬化を進めるために1週間程度は放置しておきます。
この後、上級加工ではアウターの外径をさらに削り込んでいきます。
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